もしドリ12話 ホームページは全員で。社長はブログ

物件確認は重要

黄田川不動産のWeb担当の緑川葉子と白井沙耶華は地方の駅の不動産会社を訪問するために朝早くから電車に乗っていた。
二人とも初めての日帰りではあるが嬉しさの反面、会社を空けることに多少の後ろめたさを感じながら電車に揺られていた。
車内で「会社訪問で何か収穫はあったんですか?」と沙耶華が葉子に話しかけた。

「物件確認が重要ね。お客さんはいろんな会社のホームページを見ているの。だから成約した物件なんか載せていたらそのホームページは更新されていないと思われて問い合わせしないのよ」と葉子が話すと沙耶華がうなずいた。

電車は畑に囲まれた目的の駅に着いた。
駅は立派で駅前にタクシー乗り場やバス停があったが人通りは少なかった。
その会社は駅から歩いて3分ほどの場所に自社ビルと思われる屋上に会社名の看板があった。
地方の会社らしく店の前には6台入る駐車場になっていた。

店内に入ると40代半ばの女性事務員さんが出迎えてくれ奥の打合わせ室へ通された。

葉子と沙耶華は緊張の面持ちでお茶には目もくれずじっと数分待った。
やがて二人の男性が現れた。
「やあやあ、こんな遠くまでよくいらっしゃいました」とゴルフ焼けのような男性が名刺交換を求めてきた。

ゴルフ焼けの60代の男性は社長、30代のガッチリタイプの男性は店長と名刺に書いてあった。

葉子はこれから自社ホームページを開始するに当たり
何をどのようにやるか、注意点などを聞きたいと質問した。

7年で社員が3倍、管理物件が4倍、成約数が5倍

日焼け顔の社長がホームページ導入から現在に至るまでのストーリーを話しはじめた。
1)ホームページを始めたのが7年前。
  誰もパソコンもデジカメもいじれない超アナログな会社だった。
2)当時は社長含め4名で年間成約数は80件だった。
3)現在は社長含め10名で年間成約数は400件になった。
4)システム会社が社長にブログを毎日やるように言ったので7年間続いているという。
5)6年前入社した店長と協議しホームページは会社の顔、全員で運営すること決めた。
6)社長以外の全員が「物件入力」「写真撮影と編集」「接客と案内」ができる。
  当時、パソコン操作を嫌いやらない事務員さんには辞めてもらったという。
7)社長が毎日8時にブログをアップするので社員も当然やるようになった。
8)アクセスと反響を見せてくれた。日ユニーク200、月反響メール20、電話70。
9)管理物件も7年で3倍に増え、今は管理物件と募集依頼物件だけ掲載している。
  だから他業者への物件確認は不要になった。
10)現在は自社サイトのみでポータルサイトは利用していない。

ブログで管理物件が増えた。自社サイトは会社の顔

「毎日ブログを書いていると、スーパーや道ばたで出会った人に読んだよと声をかけられる。大家さんが見てくれている。管理物件が増えているのは多分ブログだと思う。自社サイトは当社の顔」と社長が話すと隣で店長がウンウンと頷いている。

「狭い地域1番店」なら誰でもなれる

次に店長が。
・エリアを徹底的に絞り込むこと
・当初半年から1年はは反響は無いと覚悟すること。
・誰も反響が無いと焦りエリアを広げる。これが失敗のもと。
・反響が無ければさらにエリアを絞って質にこだわること。
・絞った狭い地域で1物件に写真を50枚以上載せると狭い地域の1番店になる。
・このごくごく狭い地域1番店、質中身1番店を習慣づけること。
・ポータルサイトと自社サイトの両立は無理。

ここでも「全社一丸、全員営業」「絞りと集中」だ。
葉子は零細不動産会社の生き残りが見えてきたような気がした。

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