物件確認ギライの理由
「ふう〜。私、ブッカク大嫌い!」。
ブッカク、つまり物件確認の途中で黄田川不動産のWeb担当の緑川葉子は当たり散らすように言った。
「どうしてですか?。僕手伝いましょうか?」。
賃貸営業部の青山航平が言う。
青山はいつも物件確認を嫌がる葉子を不思議に思った。
「じゃあ、ここから続きで物件をお願いしま〜す」と言って物件のファイルを青山に渡した。
「黄田川不動産です。物件確認お願いします。
フラワーマンション302号はご紹介できますか?。
あっハイ!。ご紹介させていただきます」。
物件確認は管理会社にこんな電話を掛けてやるのだ。
"あれ?、
さっき電話したのに、また同じ業者が出てきたぞ。
このファイルは価格や間取や駅別になっているから何度も同じ業者に電話しなければならないんだ。
業者別にファイルしたらもっとラクなのになあ"。
青山は数件の物件確認をして気がついた。
なぜ葉子が物件確認を嫌がるのか分ったような気がした。
業者毎の物件が一覧になっていれば1回の電話で確認できるシステムがあればイイと思った。
だが青山さらに電話を掛け続け何とか物件確認を終えた。
物件確認と告げた途端、トーンが落ちる相手
青山は物件確認をして分かったことはこちらの社名と物件確認の旨を告げた途端、相手のトーンが落ちるのが不思議だった。
それは案内のための空室確認の電話は管理会社も期待が高く嬉しいからだが、しかし単なる物件確認は案内がある訳ではないから「なんだお客さんじゃないんだ」とトーンが落ちるのだ。
ゲンキンなものだと青山は思った。
物件確認は宝の山
青山は物件ファイルを見てチョッと閃いた。
それは物件確認で終了したと言われた物件をファイルから抜き取り目を通していた時だ。
"へえ〜今この物件が人気あるんだ"
何か面白いモノが見つかった時のワクワクドキドキ気持ちを抑えながら家賃と駅、間取りで表を作ってみた。
「何やっているの?」と葉子はたずねた。
「僕が知りたかった今この瞬間のナマのデータが分かったんです。
緑川さん、物件確認は宝の山かも知れませんよ。
ウチのホームページに奇跡が起こるかも知れませんよ」。
つまり、この物件確認でこの地域のお客様の動きが分かったのだ。
「緑川さん、今この地域は2LDKから3LDKを探している人が多いんです。
ホームページに掲載するならその間取りから登録してください」。
青山はイキイキしていた。
吉野家が松屋に何杯売れたか聞けるか?
「物件確認は最高のマーケティングです。
だって吉野家は近所の松屋に昨日は牛丼何杯売れましたか?
なんて聞けないですよね。不動産屋はそれができるんですよ」。
熱く語る青山の話しに頷く葉子。
「だったら物件確認はイヤがらずにやらなきゃね」と葉子が言う。
物件確認のついでに物件のご用聞きを
「緑川さん。まず社長にお願いして
1)業者別(電話番号順)に表が印刷と
2)成約データを数値化できるシステムを導入してもらいましょう。
3)そのデータを共有するためにも
4)物件確認は社内の全員でやりましょう。物確ついでに
5)その管理会社に紹介可能な他の物件をFAXでくださいと頼めば掲載する物件がないなんて悩むことはなくなります。一石二鳥です」。
緑川は日々たくましくなっていく青山を認めはじめた。
そうなんです。
物件確認表が業者毎になっていれば物件確認が楽になりますね。
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